眠りのような遅い振動が、視床皮質系モデルにおいてシナプス性の恒常性を用いての画像分類と、記憶の結びつきを向上させる【AI論文】

   
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[論文] C. Capone, E. Pastorelli, B. Golosio, P. S. Paolucci. “Sleep-like slow oscillations improve visual classification through synaptic homeostasis and memory association in a thalamo-cortical model”. Scientific Reports, 9, 8990 (2019). [DOI:10.1038/s41598-019-45525-0]

3つの要点

✔️睡眠の重要性は知られているが、まだ仕組みについて詳しく解明されてはいない

✔️深い眠りのような遅い振動活動を含む視床皮質モデルを作った

✔️視床と皮質との繋がりがある方が画像分類の精度がよかった

概説

睡眠は認知、記憶作業に有益であることが知られている一方で、慢性的な睡眠不足は有害である。

進化のふるいを勝ち残った睡眠の発生は、動物種において広く見られる。

この現象の重要性にもかかわらず、その機能と根底にある仕組みの完全な理解にはまだ至っていない。

本論文では、深い眠りのような遅い振動活動の、エンコードし検索し、手書き数字の画像を分類するために訓練された単純化された視床皮質モデル(図1)に対する興味深い影響を示す。

遅い振動をしている間、スパイクタイミング依存可塑性(STDP)は差分を減らす恒常的な過程を生み出す。

同じクラス(数字)の画像に関連するニューロン群間の結びつきの特異的な教師なし増強と、訓練によって作られたより強いシナプスの同時下方制御の両方によってそれは特徴付けられる(図2、3、4、5、6)。

睡眠後の内部表現のこの階層構造は検索、分類作業においてより高い性能をもつ(図7、8)。

その仕組みは、深い眠りのような遅い振動をしている間の、上から下への皮質‐視床予測と下から上の視床‐皮質投射の間の相互作用から成り立っている。

実際、学習されたパターンが睡眠中に再現されると、皮質と視床と皮質の結合は、その結合を促進するために、同じような視床入力をコードする他のニューロンの活性化を促進する。

このような仕組みは人工学習システムへの応用の可能性を示唆している。


図1
A: 視床皮質系モデルの図
視床(tcが視床リレー細胞を、reが網様体細胞を表す)
皮質(cxが錐体細胞をinが抑制性介在ニューロンを表す)
視覚情報は視床群を通ってモデルに伝えられる。
横からの刺激がcxニューロンの特定の部分群を活性化させる。
B: cx(上)およびtc(下)集団における学習段階、睡眠前の検索および遅い振動(睡眠)の最初の40秒。学3つの数字(1,2,3)それぞれについて画像が3つずつネットワークにより学習される。
tc個体群の最初の180個のニューロンだけを視覚的に示した。

図2 
A 睡眠の前(左)と後(右)でのcx群の反復連結性のシナプス重み行列
黄色はニューロン間の重みが大きいことを表している。
(同じ数字なら重みは大きくなるべき)

B 睡眠後のシナプス重みのプロット
C 睡眠後の重みの分布を3つの種類(黄色:同じ数字の同じ画像、オレンジ:同じ数字の違う画像、緑:違う数字)ごとに表したもの

図3 睡眠前と後での画像を表している群どうしの間の活動相関
(より赤であるほどより強い正の相関)
図4:
B:睡眠の前後での相関の変化(赤なら正、青なら負)
C: 相関の変化量の分布(緑が別の数字の時、青が同じ数字の時)
図5:
[皮質と視床とが繋がっているとき]
左の図:シミュレーションごとの睡眠の前後での重みの比(オレンジ:同じ数字だが違う画像、緑:違う数字、黄色:同じ画像)
右の図:シミュレーションごとの相関の変化(睡眠後ー睡眠前)の平均


睡眠前後での差が観察できる

図6
[皮質と視床とが繋がっているとき]
左の図:シミュレーションごとの睡眠の前後での重みの比
(オレンジ:同じ数字だが違う画像、緑:違う数字、黄色:同じ画像)
右の図:シミュレーションごとの相関の変化(睡眠後ー睡眠前)の平均

睡眠前後で差は見られない

図7:分類の正解率の推移(標準誤差は影で表されている)
皮質と視床とが繋がっているとき:青
皮質と視床とが繋がっていないとき:赤
図8: 30睡眠エポックをとおしてのシナプス増強と抑制の平均
(オレンジ:同じ数字だが違う画像、緑:違う数字、黄色:同じ画像)

著者

Cristiano Capone (INFN Sezione di Roma, Rome, Italy)

Elena Pastorelli (INFN Sezione di Roma, Rome, Italy / PhD Program in Behavioural Neuroscience, “Sapienza” University of Rome, Rome, Italy)

Bruno Golosio (INFN Sezione di Cagliari, Cagliari, Italy)

Pier Stanislao Paolucci (INFN Sezione di Roma, Rome, Italy)

出版情報

Received: 24 January 2019 / Accepted: 3 June 2019 / Published: 20 June 2019

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