人の「嘘」はAIにバレる。

「人の心を読みたい」と思ったことはないだろうか?

いわゆるメンタリストと呼ばれる人たちは、まるで魔法のように人の心を読み、行動を操る。しかし実際は、彼らは魔法使いでも超能力者でもない。多くの心理学の知識と、それを実践するための訓練によってその能力を身に付けているのだ。

いまメンタリストになりたいと思ったら、同じように努力するしかないのだろうか?

心理学とは、実は統計学の一種。「データ」と「分析」の学問だ。
大量のデータを分析しパターンを見つけるのは、もはや人間の仕事ではない。

もうお気づきの方もいるだろう。我々にメンタリズムの力を与えてくれるのは、AIだ。

この特集では、AI時代のメンタリズムを、最近発表された論文をもとに解説していこう。

2019年7月に発表されたイタリアの研究者による論文”Can a Robot Catch You Lying? A Machine Learning System to Detect Lies During Interactions”(日本語の直訳:「ロボットはあなたの嘘を見つけるか?接触中に嘘を検出する機械学習システム」)によると、訓練された機械学習モデルは高精度に嘘を発見できる

それがアプリケーションになれば、嘘を見破るAIの登場である。

「嘘」について

嘘は、人間の社会生活の中で形成される最も複雑なスキルの一つだ。
嘘の定義を見直してみよう。嘘とは、「他人にそれを信じさせる意図をもって、虚偽の陳述を行う。そうすることによって真実を隠す」一連の行動を意味する。

しかし、チームワークや協力関係を必要とする現場にとっては嘘を発見する能力が必要とされる。特に教師や医師、法執行官などは対面相手が正直に陳述していることを前提として仕事を進めるため、嘘に気づく必要がある。

冒頭で「メンタリストと呼ばれる人たちは、…それを実践するための訓練によってその能力を身に付けているのだ。」と述べた。
嘘と真実を見分ける能力は、熟練した職業人でも不正確であることがわかっている。過去の研究によると、警察官など経験豊富な専門家であっても嘘の発見率は平均65%である。嘘の発見には正確な手がかりなどなく、主観的な経験に依存しているのが理由であると報告された

嘘を見破る従来の方法

それでも、定性的に嘘を判断するための手法が発表された。それは、

  • 発汗と呼吸
  • 心拍
  • 血圧

この3つの生理反応の測定を組み合わせるポリグラフという方法だった。

しかし、この方法は非常に面倒な方法だと言える。
少なくとも皆が期待するような、「手軽にメンタリストになれる」ための方法論などでは決してない。
デバイスと、結果を解釈するための豊富な経験が必要だからだ。
さらに、測定器と測定技師を目の前にしてターゲットが行う行動は、測定のロジックを見破り、システムをだますことだ。身に覚えがある読者も多いことだろう。
というわけで上記のような方法は、信頼性の高い実用的なものとは言い難い。

一方、嘘と結びつく人間行動も徐々に調べられ明らかになってきた。
例えば「眼球運動」や「声」などにそれが現れる。

従来①目は口ほどに物を言う

嘘をつくときは、もっともらしいストーリーをでっちあげる必要があるので、脳に負担がかかる。我々はそんなとき、瞳孔が開く。瞳孔が開くスピードや大きさなどを見ることが、嘘を見破るヒントになる。
以上の論理が、過去には有力だった。

従来②口は災いの元

人の発話には「速さ」「大きさ」「展開のはやさ」などの特徴がある。真実を話しているときの平均的なそれらの数値から、一定の量以上異なる数値を出した時の話は「ダウト」と言うわけだ。
だが発話を材料にして嘘を見破る手法には欠点がある。それは個人の性質に依存しすぎるという点だ。

Aという人間の「真実を言う時の話し方」が、Bという人間の「嘘を言う時の話し方」であることが頻発するというわけだ。これでは一般的に使えるノウハウとは言えない。

従来の方法の「穴」

上記で紹介したような、従来の嘘発見手法にはある欠点がある。
それは、「嘘をつくのは人間にとって認知的負荷がかかる」という思い込みだ。

その前提条件が疑われるケースはある。例えば、「お決まりの状況」や「お決まりの質問」で嘘をつくことは難しいことではない。

嘘を発見することには多くの壁がある。
メンタリストは、これらの研究に基づくわずかな一般則と熟練した勘、独自の経験則と訓練によって現場を乗り越える。彼らの能力は一般的なロジックや手法として解明できてはいない。あるいは彼らも、万人に通用する能力を持ち合わせてはいないかもしれない。

アルゴリズムは嘘つきを取締る

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