AIで現場も変わる!?製鉄の複雑プロセスを最適化(米)【AI論文】

アメリカ、南アラバマ大学のSandip Baruiら研究者は、鉄鉱石の品質低下に伴う転炉( 金属精錬専用の炉 )の効率低下に着目し、データ分析を用いることで脱リン処理のプロセス最適化を図った。

研究のポイントはこうだった。

✔️課題
製鉄過程において、材料である鉄鉱石のリン含有量増加に伴い、精製される鋼の脆性低下などの問題が発生している。

✔️解決手法
確率的データ駆動モデルを用い、脱リン過程の効率化を行う手法を提案した。

✔️結果
スラグ成分の割合を戦略的に操作することにより、より低いリン含有量の鋼精製が可能となった。

では研究の詳細を見てみよう。

低品質な鉄鉱石

鉄鉱石の価格の上昇(過去5年間で100%の上昇)に伴い、製鉄においては低品質な鉄鉱石が使用されるようになった。それは結果として鋼のリン(P)含有量の増加につながり、冷却不足が生じ、延性、靭性、成形性、および脆性が低下する。

低品質な投入材料に対応するためには、基本酸素炉(BOF)プロセスの改善が必要となることが指摘されている。

確率的データ駆動モデルの有効性

研究者らは、さまざまな統計手法の選択の適合性、および脱リンデータセットを分析するベンチマークテストについて調査した。データとしては、低および高リン入力負荷、異なるスラグ塩基度、異なるスラグの化学的性質、異なるエンドポイント温度などの幅広い運転条件が含まれている。

脱リンに関するこれまでの研究のほとんどは、脱リンを理解するためのツールとして数学的モデリングと熱力学解析を採用していた。

ただし、脱リン酸化プロセスの基礎となるランダム性(測定可能および測定不能)は機械学習や人口知能に関する技術で対処するのが適していると考えられる。

ここでは脱リン酸化プロセスの基礎となるランダム性はある熱から別の熱へのスラグ組成の予測不可能な変動をもたらすことに着目し、リン分配を予測するために確率的データ駆動モデルの適応を提案する。

Kフォールドモデル検証を表すフローチャート

スラグ成分の割合の最適化で、より低リン含有率鋼の生成が可能に

さまざまな統計モデルから予測されるリン分配は、プラントデータと比較することで検証された。

定性的に、lp値の観測プロットと予測プロットのグラフ表示は、モデルがデータに適切に適合することを示唆している。また推定の標準誤差は、予測がかなり正確であることを示している。

(a)プラントI、および(b)プラントIIのlpのヒストグラム。

提案されたMLRモデルは以前の研究と比較して一貫して最小平均RMSE値を達成した。したがってスラグ成分の割合を戦略的に操作することにより、より低リン含有率の鋼の精製が可能となることが示されたのだ。

プラントIの鋼の脱リンを予測するための既存モデルと提案モデルのRMSE値の比較。
プラントIIの鋼の脱リンを予測するための既存モデルと提案モデルのRMSE値の比較。

製鉄工業など、従来の古典的な手法が重視されている分野に新たな風を吹かせる研究は、これからも活発に行われていくだろう。

参照論文

Sandip Barui,Sankha Mukherjee,Amiy Srivastavaand andKinnor Chattopadhyay , “Understanding Dephosphorization in Basic Oxygen Furnaces (BOFs) Using Data Driven Modeling Techniques “, Metals 20199(9), 955;

DOI

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