R&Dに朗報!?機械学習により金属相の自動判別が可能に(米研究)【AI論文】

アメリカにあるノースダコタ州立大学のDayakar L. Naikら研究者は、ピクセル強度値が同じ値を取るという条件下で、金属の相*を自動的に特定することが困難になる状況に着目した。そこで、彼らは、ピクセル強度値に加えて、新たな組織特徴量という量を用いた機械学習による相分類手法により、判別精度を上昇させることを試みた。

*金属の相とは・・・金属中で結晶構造が同じ領域のこと。

研究のポイントはこうだった。

✔️課題:金属相のピクセル強度値が同じ値を取り、その相状態を画像を用いて、自動的に特定することは難しい。

✔️解決手法:ピクセル強度値に加えて、新たな組織特徴量という量を用いた、機械学習による相分類により判別精度を上昇させる。

✔️結果:金属相の自動特定において、97%の精度を達成した。

では研究の詳細を見てみよう。

金属相判別が不可能な場合

金属相を写した微細構造画像のピクセル強度値が重なり合い、それゆえ判別不能なとき、その相状態を自動的に特定することは難しい。

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金属相のピクセル強度の確率密度関数:(a)高い精度で判別されるフェライト相とパーライト相、(b)重なってしまったフェライト相、パーライト相、マルテンサイト相

ピクセル強度値と組織特徴量を用いた機械学習による相分類へ

Dayakarら研究者は、この問題を回避するために、組織特徴量と呼ばれるさらなる金属相の情報を利用することを提案した。

数学的には、組織特徴量は、画像領域における二次統計値であり、各金属相で違う値を取るため、それを利用することで金属相を判別することが可能なのである。

彼らは、研究材料として熱処理されたASTM A36鋼を使用し、組織特徴量の算出には、各金属相(フェライト、パーライト、マルテンサイト)の濃度共起行列(GLCM)を用いた。

算出された組織特徴量とピクセル強度値のデータセットが、機械学習分類器の教師あり学習用データとして使用され、そしてその分類器を用いて微細構造中の金属相を推定する。分類器のアルゴリズムとしては、ナイーブベイズ(NB)、k近傍法(k-NN)、線形判別分析(LDA)、そして決定木(DT)を採用した。

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ASTM A36鋼における、教師あり機械学習を使用した金属相の特定手法のフローチャート

金属相の特定、97%以上の精度を達成

トレーニング済みの4つの分類器のパフォーマンスを使用する前に評価すると、その精度は97%以上であった。このピクセル強度値を使用しない分類器による金属相の特定方法には、以下のような2つの長所がある。

(1)ピクセル強度値を元にしたメソッドよりも、結晶粒界を金属相に誤って分類することが少ない。

(2)エンドユーザーが、微細構造に存在する相数を入力する必要がない。

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ASTM A36-900WCの微細構造と機械学習による金属相の特定。4種類全ての分類器で正しく相を特定することができた。

失敗は、成功の母である。困難にもめげずに進み続ければ、必ず未来への展望は開ける。材料科学は進化し続けるだろう。

参照論文

Dayakar L. Naik, Hizb Ullah Sajid, and Ravi Kiran, “Texture-Based Metallurgical Phase Identification in Structural Steels: A Supervised Machine Learning Approach”, Metals 2019, 9(5), 546; https://doi.org/10.3390/met9050546

DOI

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