AIで故障を予防!船舶用エンジンの負荷をリアルタイム予測(AI×製造)【論文】

   

課題:船舶用エンジンの故障を防ぎたい

ディーゼルエンジンは船舶の主な推進力として使用されているが、過酷な環境にさらされているため、故障しやすい。この船舶用エンジンの信頼性を確保させるためには、エンジンの状態をリアルタイムで監視する必要がある。

エンジンの効率を高めるためには、運転中のエンジン負荷情報を知り、パラメーターを調整することが重要だ。そこで、運転中の船舶用ディーゼルエンジンを効率よく作動させるため、エンジン負荷のリアルタイムでの把握が期待される。

船舶用ディーゼルエンジンをリアルタイムで監視するという課題において、実際にどんな研究が行われているのだろうか。韓国にある蔚山大学のSyed Maaz Shahidら研究者の発表を紹介したい。

彼らは、ニューラルネットワークを用いることで、リアルタイムでのエンジン負荷分類手法の開発を試みたのだった。

テーマ:船舶用ディーゼルエンジンの負荷レベルを分類する

まずはSyed Maaz Shahidらの研究におけるミッション・手法・結果をまとめた。

✔️ミッション
船舶用ディーゼルエンジンのエンジン負荷を正確に分類する。

✔️解決手法
ニューラルネットワークを用いて、5つのクラスのエンジン負荷レベルに分類した。

✔️結果
99.4%の分類精度で実際の測定データを使用してエンジン負荷を分類した。

ミッションから説明していく。

目的:リアルタイムでエンジン負荷を予測したい

エンジンの状態は、エンジン負荷と呼ばれる負荷に依存し、エンジンの様々な燃焼パラメータに影響を与える。

燃料パラメータからリアルタイムでのエンジン負荷を予測することができれば、運転中のエンジンの状態を把握してエンジンの効率化に貢献することができると考えられる。

手法:人工ニューラルネットワークによるエンジン負荷分類モデルを構築

Syed Maaz Shahidらは、ニューラルネットワークを使用した3ステップの分類アルゴリズムを用いて、5つのクラスのエンジン負荷に分類した。

学習データの取得
データの取得には、V12 4ストロークIC船舶用ディーゼルエンジンが使用された。磁気ピックアップMPUセンサーを使用して、さまざまなエンジン負荷でデータを取得された。

データの前処理
取得したセンサー信号はCAD信号に変換された。CAD信号セットは、ランダムに3つのセットに分割され、データのうち70%がトレーニング用、15%が検証用、15%がテスト用となった。

エンジンの負荷分類アルゴリズムのフロー

結果:99.4%の精度でエンジン負荷を分類できた

結果、混同行列は実際の分類と予測された分類に関する情報を含む分類システムのパフォーマンスを示し、エンジン負荷は99.4%に正しいクラスのラベルを付けることができた。

設計された分類器の混同行列

また、設計された人工ニューラルネットワーク(ANN)のパフォーマンスを検証するために、モデルのパフォーマンスをサポートベクターマシーン(SVM)と比較したところ、ANNが新しいデータをより高い精度で予測し、過学習を回避することを示した。

以上の結果より、エンジン負荷分類は、エンジン制御パラメーターの最適化に役立ち、エンジンの効率を向上させると期待できる。

研究紹介は以上だ。

今後、ディーゼルエンジンの高効率化がさらに進められていくだろう。


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この記事で取り扱った論文:Syed Maaz Shahid, et al.,”Real-Time Classification of Diesel Marine Engine Loads Using Machine Learning.”,Sensors,19(14),3172 – DOI


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