入院から退院までモニタリング!?他 注目の「医療AI特許」5選

   

特許は、AI研究が理論で終わらず実用化された事例の集大成です。「今週の5本」シリーズ特許編では、最新のAI関連特許を紹介します。今週は「医療編」として、以下の5つの特許に注目していきます!

今週のラインナップ
1. マンモグラフィー画像を正確に分析
2. がん患者の未来を予測
3. 医療文献の内容を精度よく抽出
4. 慢性疼痛の最適な治療法を提案
5. 入院から退院までモニタリング

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マンモグラフィー画像を正確に分析

中国のHANGZHOU YITU HEALTHCARE TECHNOLOGY社は、乳房に関わる病気の早期発見に役立つ乳房画像認識のAIシステムを開発しました。

現在、乳房撮影(マンモグラフィー)では、 低線量のX線を用いて人間の乳房を検査し、 乳房の様々な腫瘍や嚢胞などの乳房病変を検出することができるため、 乳がんの早期発見や死亡率の低下に貢献しています。乳房撮影は、女性の乳房に関する様々な疾患(乳がんや嚢胞など)を診断する上での有効な検査となっております。

しかし、X線で撮影した後、医師は個人的な経験に頼りながら乳房画像を診断します。この方法では、乳房画像の判定効率が低く、認識が主観的となっているため、正確な結果を得ることが難しいものとなっておりました。

開発されたAIシステムでは、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)という手法を用いて乳房画像の特徴を抽出し、既に学習された乳房画像と照らし合わせることにより、肉眼では見つけづらい僅かな症状も発見することができるようになりました。

乳がんは女性にとって深刻な病気の1つではありますが、早期発見できれば治癒できる可能性が高いことはもちろん、治療の選択の幅も広がります。本システムにより多くの患者が早期発見できることになり、皆様の生活や生き方に大きな影響を与えることとなるでしょう。

特許の詳細:METHOD AND DEVICE FOR BREAST IMAGE RECOGNITION

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がん患者の未来を予測

アメリカのMEDIMMUNE社は、新しい抗がん治療の効果測定を行うために、最適ながん患者を見分けるAIシステムを開発しました。

新しいがん治療法の開発では、有効な薬を効果測定するために多大な時間やコストが必要です。臨床試験を通じて、薬が安全かつ効果的であることを証明されなければなりませんが、それらを証明するためにはがん患者を募集し、実際のデータを取る必要がありました。理想的なデータを取るためには2ヶ月〜3ヶ月以上の日数がかかるのですが、がん患者の20%近くは2ヶ月〜3ヶ月以内に亡くなってしまう、もしくはがんとは無関係な病気に陥ってしまうなどして、最適なデータが取れませんでした。

開発されたAIシステムでは、勾配ブースティングの機械学習モデル、つまり予想値との誤差を減らす仕組みを用いて、募集したがん患者が12週間以内に死亡する可能性があるかどうか、患者の免疫力が弱っていないかなどを予測することができます。

これらのシステムを使用することにより、従来のような早期に亡くなってしまうケースを回避することができるようになりました。また本システムにより、2ヶ月〜3ヶ月以内に亡くなると予想されたがん患者向けに、各ステージに合わせた投薬もできるようになりました。

死亡原因の1位は男女ともがんと言われているため、少しでも癌で亡くなる人が減ることを祈っております。

特許の詳細:METHODS FOR DETERMINING TREATMENT FOR CANCER PATIENTS

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医療文献の内容を精度よく抽出

中国の北京大学は、医療文献の重要な文章のスクリーニング精度を向上させるAIシステムを開発しました。

従来の主要な文章のスクリーニング方法は、一般に統計的方法に基づいており、単語の位置情報や頻度などの統計情報を使用して、主題を最もよく表す文章を重要な文章として見つけてきました。

しかしながら、従来のような方法では、文章の内容については考慮されず、キーセンテンスの内容が含まれていない、理解する上で重要な内容が無視されてしまう、または同じような内容の文章が多く表示されるなどの理由で、冗長性の高いスクリーニングになるケースが多くなっておりました。

開発されたAIシステムでは、各センテンスのカテゴリ分けを実施し、文章と文章のコンテキスト関係を考慮しながらスクリーニングを行うため、精度を上げることに成功しました。近い将来、膨大な知識と情報収集が必要な医療従事者にとって、手助けとなるシステムになるでしょう。

特許の詳細:DEEP LEARNING-BASED METHOD AND DEVICE FOR SCREENING FOR KEY SENTENCES IN MEDICAL DOCUMENT

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慢性疼痛の最適な治療法を提案

アメリカのノースウェスタン大学は、慢性腰痛などの慢性疼痛患者を診断し、治療することができるAIシステムを開発しました。

現在、世界人口の約20%が慢性疼痛に苦しんでおりますが、患者の大多数は、治療方法に満足しておりません。というのも、慢性的な痛みは心理的要因および性格特性に影響されるため、痛みの原因を特定できず、行き当たりばったりの治療法や投薬、推奨できる具体的な証拠がほとんどないまま治療が施され、患者は苦しみ続けているためです。

開発されたAIシステムでは、慢性疼痛患者をモニタリングして、大量のグループデータ(例えば、行動、心理学、脳解剖学および機能、遺伝学などの様々なレベルのデータ)を収集し、グループデータ分析に基づいて相関関係を導き出し、各患者に応じた最適な治療を実施することができます。

このAIシステムは、機械学習によりシステムを構成しているため、事例となるデータを反復的に学ばせることによって、更なる特徴や相関関係のパターンを見つけ出し、ブラッシュアップされる形となっております。インテリジェントなシステムにより、慢性疼痛に苦しんでいる患者さんが少しでも減ることを切に願っております。

特許の詳細:BIG DATA-DRIVEN PERSONALIZED MANAGEMENT OF CHRONIC PAIN

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入院から退院までモニタリング

イギリスのオックスフォード大学は、AIを駆使して入院から退院まで適切な治療を実施することができる患者向けモニタリングシステムを開発しました。

人口増加や高齢化などの要因による医療への需要の高まりは、短い時間で患者フロー(入院から退院までの各ステージの流れ)を決めなくてはならない等の影響を与えております。 また、患者のデータ判断もその場その場で対応するケースが多いため、最適なパフォーマンスが得られず、退院が遅れるケースにも繋がっております。

開発されたモニタリングシステムでは、現在の患者データが時間を経ることにより、どれくらい変わるか機械学習を用いて予測し、データを提供することができます。比較的短い期間(24時間、48時間以内)ではありますが、例えば救急部門やICUなどの一刻の猶予もない患者にとっては、予測データを基に適切な治療を実施することができます。

今までは過去のデータをもとに治療を実施する必要がありましたが、これからは未来のデータを参照しながら治療を実施することができるようになるため、不測の事態にも備えることが可能になるでしょう。

特許の詳細:METHOD AND APPARATUS FOR MONITORING A PATIENT

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今週の特許紹介は以上です。また次回をお楽しみに!

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Yoshiaki iida / Engineerforce CEOChairman,President & CEO

投稿者の過去記事

Engineerforceというソフトウェアの会社でCEOをやっております。

国内大手SIer→外資系企業→会社設立

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