「多くの病気を治す薬」はこうして発見される【AI時代のくすり作り】

   

こんにちは。薬学部出身ライターのMasashiです。

連載「AI時代のくすり作り」では、新薬開発の現場でどのようにAIが活用されているのかについて、論文を読み解きながら紹介していきます。

前回の記事では 「抗菌薬の開発」について扱いました。第2回目は、「多くの病気を治すかもしれない薬の開発」をテーマにお話ししていきます。

「万能薬」という言葉はただの都市伝説。しかし、科学をつきつめると実りのある瞬間に出くわすものです。

前回の記事はこちら▶︎見限られた「抗菌薬開発」、機械学習で復活なるか【AI時代のくすり作り】

もくじ
背景:様々な疾患に共通する「S100A9」とは?
テーマ:ヒット化合物を特定するための予測モデルを開発する
目的:S100A9阻害剤の効率的な薬物設計
手法:ランダムフォレストで予測モデルを開発した
結果:46件のヒット化合物を特定できた

背景:様々な疾患に共通する「S100A9」とは?

医薬品の研究開発(R&D)では、生産性の向上が課題となっています。現在、 効率的で費用対効果の高いR&Dプロセスを開発するために、計算とシミュレーションを利用した「バーチャルスクリーニング」による治療標的(治療メカニズムの鍵となる分子)やヒット化合物(標的に対して有効な物質)の探索が注目されています。

バーチャルスクリーニングによる薬の探索が期待されている例を見てみましょう。

「S100A9」というタンパク質は、前立腺がんや結腸・直腸がん、アルツハイマー病などの様々な疾患の治療標的タンパク質として知られています。しかし、情報量が少ないため、S100A9に対する薬の開発が遅れています。

そこで、 バーチャルスクリーニングを利用して、S100A9に対して競合的阻害作用(S100A9と分子の構造が似ており、S100A9のはたらきを邪魔する作用)を持つヒット化合物の探索を行えば、効率的にS100A9阻害剤となる薬を設計できるのではないかと期待が集まっています。

そこで、韓国にある嘉泉(カチョン)大学のJihyeun Leeら研究者は、多様な疾患の治療標的タンパク質として知られるS100A9のヒット化合物の探索という課題に着目し、阻害剤となる化合物の予測モデルの開発を試みました。

結果、ヒット化合物を特定するモデルはできたのでしょうか?ぜひ続きを読んでみてください。

テーマ:ヒット化合物を特定するための予測モデルを開発する

はじめに、Jihyeun Lee らの研究におけるミッション・手法・結果を以下に簡単にまとめておきます。

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