疲労度が数値で分かる!? 「注目のAI特許」今週の5本(2020年5月第4週版)

   

特許は、AI研究が理論で終わらず実用化された事例の集大成です。「今週の5本」シリーズ特許編では、1週間以内に発表されたAI関連特許を紹介します。今週は、以下の5つの特許に注目していきます!

今週のラインナップ
1. 疲労度を可視化して過労死を予防
2. リアルなアバター合成の新技術
3. 画像で良い牛乳と悪い牛乳を見分ける
4. 好きな歌声をAIで手軽に再現
5. 機械のUIをパーソナライズ

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疲労度を可視化して過労死を予防

ASSEST株式会社は、従業員の疲労度を判定できるAIプログラムを開発しました。

過酷な労働による過労死は大きな社会問題となっています。これからの企業には、従業員に無理をさせない労働体制や、疲労が蓄積されている従業員のケアなどの、健康的に働くことができる環境整備が求められていきます。

開発されたプログラムでは、従業員の勤務状況や、毎日の業務件数(営業ならテレアポ数、飲食店なら調理数など)、年齢・性別・家族構成などの属性情報をAIが総合的に分析することで、疲労度を0~100%で算出することができます。こうした詳細なデータをどのように収集するかは課題となるでしょうが、従業員一人一人の疲労度をこまめに把握することで、過労死の予防や適切なセルフケアにつながるでしょう。

特許の詳細:疲労度判別プログラム

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リアルなアバター合成の新技術

韓国のサムスン電子は、従来法よりもすぐれたアバター作成手法を開発しました。

新型コロナの影響でオンライン化が急速に進む中、現実世界を模した3D空間で人々が交流するようなサービスも増えてきています。オンライン空間を現実世界の延長としてより身近な存在にしていく上では、ユーザの外見に似せたアバターの作成技術の向上も欠かせません。

開発された手法では、カメラで撮影されたユーザの体の関節構造を握したのち、AIによる位置や質感の推定結果に基づいてアバターを作成します。この手法では、従来法では難しかった髪や肌、メガネなども再現しやすくなっています。また、「転移学習」というアプローチにより、学習データの乏しいユーザのアバター合成も迅速に行うことができます。こうした技術の進歩により、オンライン空間がより現実に近しいものに変わっていくでしょう。

特許の詳細:TEXTURED NEURAL AVATARS

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画像で良い牛乳と悪い牛乳を見分ける

デンマークのFOSS ANALYTICALは、牛乳の品質を画像解析によって分類できるAIシステムを開発しました。

生乳を集める際には、乳を搾る時の衛生管理ミスや家畜の病気などが理由で生じる質の悪い生乳が紛れ込んでしまうことがあります。不良な生乳は小さな塊を作るといった特徴があるため視覚的に判別できるものの、実際の製造工程では品質分析機器にかける前に完全に取り除くことが難しいものです。

開発されたAIシステムでは、牛乳の画像を取得し、その画像に基づいて異物混入や凝集を判別することで、不良な生乳を見分けることができます。これにより、不良な生乳による分析機器の故障といった不具合の発生を防止し、訓練された人の目に頼らない品質管理の実現が期待できます。

特許の詳細:MILK ANALYSER FOR CLASSIFYING MILK

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好きな歌声をAIで手軽に再現

ヤマハ株式会社は、膨大な音声素材を集めずに音声合成できるAIシステムを開発しました。

昨年末の紅白歌合戦では「AI美空ひばり」が大きな話題を呼びました。この先も、誰かの歌声を再現するような試みは増えていくと思われますが、音声再現のためには、その人の五十音それぞれの発音や、それぞれの音程に関する音声素材を膨大に集めなくてはなりません。

開発されたAIシステムでは、歌唱者の声質や音響的特徴などのデータや、どの音でどれだけの長さ発生するかといったデータをAIモデルに入力することで、再現したい歌唱者の歌声を合成してくれます。これまでよりも少ないデータ数で再現ができるので、膨大な音声素材集めというハードルを解決することができます。自分の好きな歌手を自宅で自由に歌わせられる時代が来るといいですね。

特許の詳細:情報処理方法および情報処理システム

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機械のUIをパーソナライズ

ファナック株式会社は、操作者に応じて最適な操作メニューを表示できるAIシステムを開発しました。

一般的に、機械を操作するユーザには、機械を専門とするユーザもいれば、機械音痴なユーザもいます。機械の操作はパネルをタッチするなどして行われますが、玄人向けの画面では初心者には扱いにくいでしょう。万人に使いやすい機械のユーザインターフェイス設計は難しいテーマです。

開発されたAIシステムは、操作者を検知すると、まずデータベースから操作者の情報を読み取ります。そして、アクセス回数や、メニューの遷移情報、過去の操作履歴などを元に、AIが操作者に最適な操作メニューを表示してくれます。こうしたシステムにより、より多くの人がストレスなく機械を操ることができるようになるでしょう。

特許の詳細:操作メニューの表示を学習する機械学習器,数値制御装置,工作機械システム,製造システムおよび機械学習方法

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今週の特許紹介は以上です。また次回をお楽しみに!

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