創薬を変えるかもしれないAI技術。 −メディカルAI今週の5本(2020年5月第3週版)

   
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最新研究をサクっとキャッチアップできる「今週の5本」シリーズ。今週のメディカルAI編では、特別編として「創薬を変えるかもしれない」以下の5つの最新AI研究に注目していきます!

今週のラインナップ
1. バイオマーカーの発見をAIで自動化
2. 疾患別のドラッグデザインをAIで最適化
3. 薬の副作用の強さをAIで予測
4. 分子類似性を利用して毒性などをAIで予測
5. 個々の患者に有効な抗がん剤をAIで予測

今回も手術支援AIベンチャーCEOの河野健一医師にコメントをいただきました!






今回は創薬領域です。私は創薬の専門ではありませんが、医療現場で薬を使用してきましたので、その経験と、薬学の知識からコメントさせて頂きます。

手術支援AI事業を展開している河野先生のiMed TechnologiesはAIエンジニアを募集しています!関心のある方はこの記事の下部をチェック!

バイオマーカーの発見をAIで自動化

生体の状態を表すバイオマーカーの特定は、疾患の診断結果の予測に貢献しており、近年では機械学習を用いた手法が提案されています。しかし、これらの手法は複雑であり、網羅的な生体分子についての情報であるオミックス情報 (遺伝子発現やタンパク質構造など)をデータとして用いた例は、ほとんど存在していませんでした。

カナダのラヴァル大学の研究者らは、医療分野の研究者がユーザーフレンドリーに機械学習を用いることができるBioDiscMLと呼ばれるバイオマーカー発見ツールを開発しました。BioDiscMLは、多種多様な機械学習モデルと複雑なオミックスデータ由来のバイオマーカー候補の最適な組み合わせを自動で最適化することで、機械学習の専門家以外のユーザーの作業を容易にすることに成功しました。これらの成果は、医療分野の研究者によるバイオマーカー探索研究を効率化し、多くのバイオマーカーの特定に繋がるでしょう。

ソース: Large-Scale Automatic Feature Selection for Biomarker Discovery in High-Dimensional OMICs Data

河野先生のコメント

バイオマーカーとは、病気を発見したり、病気の経過をフォローしたりするのに利用する血中のタンパク質などのことです。

臨床現場でよく使われているものとして、糖尿病の有無や重症度を示すHbA1cという指標があり、これもひとつのバイオマーカーです。糖尿病は血液中の血糖値が通常より高い病気です。HbA1cは過去1~2ヶ月前の血糖値を反映します。そのため、みなさんが受ける健康診断での早期発見や、糖尿病治療の指標として大変有用です。糖尿病は脳梗塞などのリスク要因になりますので、私も外来で患者さんのHbA1cをチェックしています。

近年、血液中の多くのバイオマーカー候補を一気に検査することができるようになっています。例えば1万個のバイオマーカーと100の疾患を組み合わせて、ある疾患に特徴的なバイオマーカーのセット(特徴量)を見出す研究が行われています。機械学習を用いて行いたいのですが、専門知識が必要ですし、自動化したいところです。一般的には、AutoML(無料)、RapidMiner (無料)、DataRobot(有料)などの機械学習の自動化ツールがあります。それぞれ使ったことがありますが、アルゴリズムやハイパーパラメータの調整が自動ですし、可視化も自動なので、かなり便利です。

今回の研究は、バイオマーカーに特化したものです。特化することにより、より効率的に最適化された機械学習が行われることが期待されます。今後もこのような特化型自動化機械学習ツールの開発が進むものと思われます。

関連記事: 分類・治療はAI医療の十八番 -敗血病の場合-

疾患別のドラッグデザインをAIで最適化

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masashi

投稿者の過去記事

大学院では薬学の研究を行っていました。主に創薬・製造・金融分野におけるAI活用を掘り下げたいと思います。Twitter:@masa05240112

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