感染リスクをAIが予想!健康診断結果からB型肝炎のかかりやすさを推定(AI×医療)【論文】#AI時代の疾病対策 Vol.3

   

ウイルス感染のしやすさを機械学習で予測

B型肝炎ウイルス感染は、公衆衛生における世界的に大きな問題の一つである。2015年には世界中で3億人超の肝炎患者の存在が報告され、そのうちおよそ2.57億人はB型肝炎患者であった。ひどい場合には死に至り、B型肝炎感染による年間死者数はおよそ65万人と報告されている。

こうした状況の中で注目されているのが、機械学習を利用した感染リスクの予測である。近年、機械学習は医療データ分析に非常に重宝されている。機械学習を利用することで、変数間の非線形関係を自動検知することができ、病気予測の精度を向上させることができるのだ。

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中国にあるSun Yat-sen UniversityのYingら研究者は、この手法を応用することで、感染リスクの高いグループを効率的に特定しようと試みた。予測モデルを開発・適用することで、限られた医療リソースを効率的かつ有効に分配することが可能になるはずだと考えたためだ。結果、Borderline-SMOTEとXGBoostを組みわせた予測モデルでは、70%以上の正確さで、B型肝炎感染リスクの高い人口を予測することができることが可能であった。

4種類のアルゴリズムによるB型肝炎感染リスクの判定

Yingらの研究のポイントは以下の通りだ。

✔️ミッション
B型肝炎発症リスクを予測する。

✔️解決手法
Borederline-SMOTE と4種類のアルゴリズムを組み合わせて、最適な予測モデルを開発した。

✔️結果
XGBoostを用いたモデルで、B型肝炎患者の特定に70%以上の精度で成功した。

研究の詳細を以下で述べる。

B型肝炎発症リスクの高いグループの特定

中国における肝炎の猛威は落ち着きつつあるが、病気の脅威がなくなったわけではない。感染リスクに気づいていない多くの人が、感染初期の対応に失敗し、辛い予後を送ることとなる。本研究の目的は、B型肝炎発症リスクが高く、有病か否かを判定するスクリーニング検査を受けるべきグループを特定することである。

Borederline-SMOTEと4種類のアルゴリズムを組み合わせる

データは、母集団からヘルススクリーニングをおこない、平均54歳97人のグループと、平均94歳173人のグループに対する研究により、収集された。人口統計的特性や血液指標、肝機能などを含む総計33の指標データがモデル予測用に収集された。

データ前処理手法には、Oversamplingの代表的な手法の一つとして知られるBorderline-SMOTE(Synthetic Minority Oversampling TEchnique)を用い、それから以下のような4つのアルゴリズムを用いて予測モデルを開発した。

  • extreme gradient boosting (XGBoost)
  • random forest (RF)
  • decision tree (DT)
  • logistic regression (LR)
モデルごとのパラメタのサマリー

XGBoostとの組み合わせで、70%超の予測に成功

HBsAg(B型肝炎表面抗原の陽性率)は8.27%であった。有用性の指標となるROCカーブの下部面積はそれぞれ以下の通りであった。

<アルゴリズムごとのAUCの値>

  • extreme gradient boosting (XGBoost) :0.779
  • random forest (RF) :0.752
  • decision tree (DT) :0.619
  • logistic regression (LR) :0.742

Borederline-SMOTEとXGBoostを組みわせた予測モデルの性能は、その他3モデルよりも優れており、19,435ケース中13,637ケース(70%以上)で正確に予測し、variable importance plotによると年齢が予測において最も重要な役割を果たしていた。本研究により、開発された予測モデルを使用すれば、B型肝炎感染リスクの高い人口を正確に予測することができることが判明した。すぐにでも適切な医療処置の流れの中に取り入れられるべきである。

HBV感染リスク予測における変数の重要性のプロット

研究紹介は以上だ。

感染拡大を最小限に抑える対策を打ち出すのはAIかもしれない。

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この記事で取り扱った論文:Ying Wang,Zhicheng Du,Wayne R. Lawrence,Yun Huang,Yu Deng and Yuantao Hao,”Predicting Hepatitis B Virus Infection Based on Health Examination Data of Community Population”,Int. J. Environ. Res. Public Health201916(23), 4842- DOI


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