最終更新日:2020/02/17
金融市場におけるマイクロ秒単位の自動取引
株や為替の取引手法の1つに、グリッドトレード戦略がある。グリッドトレード戦略とは、等間隔の価格または時間でポジションを取る戦略であり、多くの投資ファンドや機関投資家からHFT(高頻度取引)戦略に採用されている。 このグリッドトレード戦略と機械学習を組みわせることで、パフォーマンスの高い自動取引システム構築の可能性が期待される。

イタリアにあるカターニア大学のFrancesco Rundoら研究者は、外国為替市場でのHFT(高頻度取引)における自動取引システムのパフォーマンスを向上させるため、グリッドトレード戦略と機械学習を組み合わせたシステムの構築を試みた。結果、低リスクで優れたパフォーマンスを発揮するシステムの構築に成功した。
グリッドトレードを機械学習で強化
Francesco Rundoらの研究のポイントは以下の通りだ。
✔️ミッション ✔️解決手法 ✔️結果 |
研究の詳細を以下で述べる。
トレーダーに人気な「グリッドトレード戦略」
株や為替の取引手法の1つであるグリッドトレード戦略は、他の取引手法よりもアルゴリズムの持続可能性が高いという点で、投資ファンドや機関投資家の間で非常に人気がある。グリッドトレード戦略は、買い注文と売り注文をチャート上に適切なグリッド距離で配置することにより、利益を得ようとする戦略だ。金融市場の長期予測は難しく、多くの投資ファンドや機関投資家が短期で多数の取引を行うHFT(高頻度取引)システムを選択しているが、グリッドトレード戦略はHFT戦略に使用される最良のアプローチの1つである。
機械学習手法とグリッドトレード戦略の組み合わせ
Francesco Rundoらは、自動取引システムのパフォーマンスを向上させるため、機械学習手法とグリッドトレード戦略を組み合わせた、外国為替市場で動作する自動HFTグリッド取引システムを提案した。提案されたシステムは、現在のドローダウン、取引口座の残高、開始の制約などの取引の状態を評価することにより、取引グリッドを自律的に整理した。

リスクを抑えた自動取引システムの構築に成功
Francesco Rundoらが構築したシステムと、別の論文で提案されているシステムのパフォーマンスを比較したところ、収益に対するパフォーマンスはやや劣るものの、ドローダウンの観点からリスクを抑えた自動取引システムの構築に成功した。

研究紹介は以上だ。
今回構築された自動取引システムなら限られた財務リスクで優れたパフォーマンスを発揮することが期待される。
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この記事で取り扱った論文:Francesco Rundo, Francesca Trenta, Agatino Luigi di Stallo, Sebastiano Battiato,”Grid Trading System Robot (GTSbot): A Novel Mathematical Algorithm for Trading FX Market”,Appl. Sci.,9(9), 1796 - DOI
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